竜脳・桂皮

竜脳は昔、 スマトラ島で老竜脳木の中に白い顆粒状の結晶の形で見つけられました。清爽感のあるこの香料は古くから防虫剤、防腐剤の原料として使われてきました。書道の墨などにもこの竜脳が香っています。スマトラ、マレー半島、ボルネオの熱帯雨林に生育する竜脳木から採取されますが容易でないため高価な香料です。12世紀頃、香りが似ていて採取が簡単なところから、竜脳の代用品としてあらわれたのが、中国の樟木から製造される樟脳です。以来、防虫剤の原料には竜脳に代わり樟脳が一般的になりました。

 

 

桂皮(シナモン)は アップルパイをはじめ多くの料理のスパイスとして使われ、香の原料としても欠かせません。スリランカを中心に、スマトラ、インド、マラバル海岸などに産するクスノキ科の植物の樹皮で、その皮をはいで管状に細く巻いたものです。噛むと爽快感のある甘さがあり、苦みや辛みの無い上品な香りを持っています。シナモンティーなどで一緒に出てくるあれです。また、葉や根を蒸留して抽出されたシナモン油が、香料として使われたり、粉末にしたものを芳香性健胃薬などの原料に使ったりします。桂皮とよく似たものにシナ肉桂があります。中国南部、インドシナに自生するクスノキ科の植物の樹皮で、色はよく似ていますが厚くてごつい感じがします。桂皮よりビターな味で、香りも刺激が強く多少薬臭いようです。

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