麝香
麝香は、ジャコウジカの雄の生殖腺の分泌物で、動物性香料です。この鹿は、ヒマラヤ山麓、中央アジア、チベット、南シベリア、アッサム、雲南に生息していて、雌を求めて発情し、生殖腺(雄の香嚢)に麝香が充満する秋に狩猟されます。この分泌物は一頭から約50グラム程度取れ、その香りは頭痛がおきるほど鼻を刺す臭さですが、それを1000分の1以上に薄めると官能的な芳香に変わります。香の原料以外に、香水の原料にも使われています。動物性の香料は、揮発性が高く香りがすぐに飛んでしまう植物性の香料に、少し調合しただけで香りを長く保つことができる保香剤としても使われます。